- 日替わりコラム
Wed
12/30
2020
仙台市若林区にある仙台市立荒浜小学校は、2017年4月から震災遺構として見学者の迎え入れを始めました。東日本大震災から6年が経ったときのことでした。最初の1年間で、7万7000もの人がこの地を訪れたそうです。
遺構1年目に私が訪れたとき、説明員の方が言いました。「高さ4.5mの津波がありました。学校にいた生徒や先生、地域の人たち、340人がここに避難しました。午後3時55分に校舎に津波がぶつかりました。1階、2階にはガレキが入ってきました」。私は、見学後に、思いのままの感想を自分のノートに記しました。
「震災遺構は、被害にあった現場に、見学者がじかに立つことができる場所だ。ここで実際に何が起きて、どういう状況になったのかを、思いをめぐらすところになる。目で見て、肌で感じることは、文章や映像から得る情報より、はるかにインパクトが強い。それだけに、震災を後世に伝えるため、風化させないために、震災遺構の存在価値の大きさは、はかりしれないものがあると思うのである」。
震災遺構の保存は、地元の方々の納得や同意が必要になります。大切なのは、後世の貴重な命を守るために何を遺すのかです。私たちに何ができるのかを、もう一度考えてみたいと思っています。
一般財団法人 日本環境衛生センター 技術調査役(環境衛生分野担当)中臣昌広
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