- 日替わりコラム
Wed
1/13
2021
新型コロナウイルスによる介護施設での面会や外出自粛の影響について、「公益社団法人認知症の人と家族の会」などが昨年9月、認知症の人の家族150人に行った調査によると、半数近い人が「症状が悪化するなど影響があった」と回答しました。面会の制限については、「残された貴重な時間なのに一緒にいられない」や「十分な看取りもできずに親が亡くなってしまうのでは」など、制限の緩和を望む声が多くありました。同法人では厚生労働省に対し、感染予防策を徹底したうえで家族が面会できるよう支援してほしいと要望しています。
現在も基本的には面会を制限している施設が大半で、家族を受け入れて感染してしまうリスクを恐れているのが実情です。高齢者が感染すれば亡くなる可能性が高く、ほかの高齢者に感染することも考えられます。感染者が出てしまった場合、施設側は経済的にも社会的にも大きなダメージを受けてしまうでしょう。
一方で、国や一部の施設がこのことをそれほど重要とは思っていない印象を受けることもあります。「認知症だから、どうせ家族と会っても忘れてしまうだろう」と言う人もいます。今回の調査でもわかるように、高齢者とともに家族の不安も重視すべきで、親と会えない寂しさに心を閉ざし、憔悴(しょうすい)した日々を送る人がいることを知ってほしいと思います。
介護問題研究家中村和彦
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