- 日替わりコラム
Mon
1/25
2021
社会情勢の変化に伴い人々の働き方は多様化し、食品事業の就業環境も変化しています。しかし、人の健康に大きくかかわる食品安全への取組みは、変わることのない重要事項です。
ある消費者が、コーヒー専門店でペットボトル入りの特製コーヒーを購入して帰宅しました。翌朝、開封したコーヒーは、色が黒く、香りもせず、一口飲んだ際には口の中が真っ黒になったとして保健所に届け出がありました。
コーヒーの販売店を調査したところ、展示用サンプル品が間違って販売されていたことがわかりました。このサンプル品の中身はコーヒーではなく墨汁を薄めただけのものでした。店の繁忙時に、販売に不慣れな店員がサンプル品と気づかずに客に販売したことによる苦情でした。
本事例は、店員の商品販売時における不注意が直接的な原因でした。しかしながら、その背景には店員の取り扱い品についての経験や知識の不足、営業者による販売方法の指導不足、忙しさや業務量に合わせた適切な人員配置の不備などの要因がありました。
重大な食品事故を発生させないためには、小さなミスでもその背景要因までを十分に検討し、それぞれの就業環境に即した対策を改善しながら実施していくことが大切です。
公益社団法人 日本食品衛生協会 技術参与・一般財団法人 関東学校給食サービス協会 顧問谷口力夫
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