- 日替わりコラム
Wed
2/24
2021
ネズミ類のうち、特にドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミは国内だけではなく海外にも広く分布しています。これらのイエネズミは、飛行機や船に乗って日本にやってきます。最近でも、飛行機内でクマネズミやハツカネズミの仲間が生きたまま捕獲された事例がありました。
一方、国際航行する船のコンテナ、また特異な例ですが、天候不良などで緊急避難的に海外から入港する漁船でも生きたネズミが発見されています。検疫所では空港港湾部でのネズミのサーベイランス※1 を実施し、捕獲されたネズミからペストやHFRS(腎症候性出血熱 hemorrhagic fever with renal syndrome)の抗体価※2 などを調べていますが、散発的にHFRSの抗体価が高いネズミが捕獲されます。あくまでも推測ですが、散発的・点在的に抗体価が高いネズミが発見されるということは、日本国内でHFRSが広がっているというより国外から迷入したと考えるほうが理解しやすいと思います。
ある調査で輸入原料を関東地方から別の地方まで運び加工する工場内で捕獲されたネズミの種類を調べたところ、アメリカ産のネズミと判明しました。
このように流通が盛んになれば、ネズミの移動も頻繁になる可能性が高いと思われます。
※1 継続した調査により事態を見守ること。調査監視
※2 体内に侵入してきたウイルスに対して、対抗する物質(抗体)の量や強さ
イカリ消毒株式会社 取締役・一般財団法人 環境文化創造研究所 理事谷川力
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