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3/15
2021
今回は冷凍食品の規格に関わる大腸菌群、E.coli とは何を指すのか、また日本の食品衛生法で定められている「E.coli」と「大腸菌」の違いについてご紹介します。食品衛生法では、食品中の汚染の有無を調べるための衛生指標菌として、大腸菌群およびE.coli が用いられています。大腸菌群はグラム陰性の無芽胞桿(かん)菌で、48時間以内に乳糖を分解して酸とガスを産生する好気性または通性嫌気性菌と定義されており、「大腸菌」以外も含まれ、腸内細菌由来ではなくても検出されます。
一方、E.coli は本来、「Escherichia coli (大腸菌の学名)」の略なのですが、日本の食品衛生法では「糞便系大腸菌群」のことを指し、細菌分類学上の「大腸菌」ではありません。そのため、イタリック体ではなくローマン体にして区別していると考えられます。大腸菌群のうちEC培地を用いた発酵管で、44.5±0.2℃の恒温水槽中で24±2時間培養し、ガス発生が認められればE.coli と判定されます。さらに、E.coli 検査で陽性になった菌に対してIMViC試験※ を行い、大腸菌かどうか判定します。
食品衛生法のE.coli は、大腸菌や海外の規格基準等に用いられているE.coli とは似て非なる日本独特の分類です。一刻も早い国際的に整合性のとれた試験法の整備が望まれます。
※ IMViCのIはインドール産生能、Mはメチルレッド反応、ViはVP反応、Cはクエン酸塩利用能のこと
元国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部 部長・一般財団法人 環境文化創造研究所 顧問小西良子
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