イカリホールディングス株式会社 よりそい、つよく、ささえる。/環文研(Kanbunken)

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Thu

4/8

2021

ストレス社会を心穏やかに生きる(78)布施波羅蜜(ふせはらみつ)

 先月、お彼岸について、ご先祖様を敬う供養週間という意味ばかりでなく、私たち自身が、「六波羅蜜」という6種の菩薩行を実践する修行週間であることをお伝えしました。供養と修行とが共にあるのは、供養することが修行となり、修行することが供養となるからです。それは、お彼岸の期間に限らず、日々の生活の中でこそ実践していただきたい、悟り(幸せ)に到るための道なのです。
 六波羅蜜の1番目は、「布施波羅蜜」です。布施とは、「施す」ことでなく、「施”させていただく”」ことで、「喜捨(きしゃ)」とも申します。自分が所有しているものを、他に施させていただくことで、貪(むさぼ)りや瞋(いか)り、癡(おろ)かさといった心に潜む毒を捨て、苦の原因となる執着(しゅうじゃく)を離れる行なのです。
 実は、布施の利益は、受ける側(受者)ではなく、させていただく側(施者)にこそあると言われます。また、「施者・施物(布施される物)・受者」は、「三輪空寂(さんりんくうじゃく)」と言って、それぞれに空寂心(清浄(しょうじょう)心)で布施を行じなければなりません。見返りを求めたり、媚び諂(へつら)いの姿勢や卑下する心からは、真の感謝や功徳が生まれないからです。
 布施の本道は、「感謝し合い」の心です。私たちは、常に大自然から命という大布施を受けていることを忘れてはなりません。日々を感謝の心をもって生きることが、布施を行ずることなのだと思います。

合掌

下野薬師寺別院 舎那殿壇 龍興寺 副住職阿波建多

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