- 日替わりコラム
Wed
4/28
2021
虫供養碑は、全国各地に数多くあります。
古いものでは天保7年に建立された福井県敦賀市の虫塚がよく知られていますが、ほかにも長崎県や佐賀県の虫供養塔、新しくは茨城県の蟲塚などが有名です。ちなみに「ムシ」は、今では「虫」と書きますが、日本では戦前まで「蟲」と書きました。この「虫」と「蟲」は別の字であり、「虫」はヘビを表した象形文字で、マムシが伏している姿をかたどっています。この「虫」は、ヘビ、カエルなどを含めた広義のムシを意味しています。水木しげるの漫画『ゲゲゲの鬼太郎』の挿入歌の「ゲッ、ゲッ、ゲゲゲのゲ」というフレーズは、カエルの声です。これに対して「蟲」は、虫を3つ合わせて虫がたくさんいる様子を表した会意(かいい)文字です。
虫供養の目的ですが、農業害虫の供養、ヘビなども含めた「虫」の供養、そして商業としての虫の供養に大きく分かれます。
私の住む千葉県長生村にも村の指定文化財になっている供養碑があります。この供養碑は、商業用の「鳴く虫」の供養碑にあたります。江戸時代、「虫聴(むしきき) 」という道楽があり、そのための虫を捕獲した業者がここ長生村岩沼に多く、江戸から大正時代まで虫の捕獲と販売で生計を立てていました。
イカリ消毒株式会社 取締役・一般財団法人 環境文化創造研究所 理事谷川力
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