地方創生で注目は和歌山県田辺市の人材塾

　地方創生で注目していただきたいのは、2016年から始まった和歌山県田辺市の「たなべ未来創造塾」です。この塾は、市、大学、金融機関、地域事業者との連携で成り立っています。富山大学が高岡市や魚津市で実績を上げ、田辺市がそのノウハウを学んで始めたものです。20代～40代で新たな事業や起業に取り組む人たちを募集し、選抜された塾生は、半年間14回の講義や演習などを通して具体的な事業プランをまとめ、それを実践へと発展させます。
　講義では、田辺市を取り巻く産業の状況や人口推移などのデータが公開され、現況を把握した上で、どのような事業を目指すのかブラッシュアップを繰り返します。金融機関が事業計画をサポートし、融資もしてくれます。これまで4期47名の修了生から33名の起業家が生まれ、2021年は5期生11名が卒業しました。
　この塾の優れた点は、田辺市の担当者が課題と強みを把握することで将来のビジョンを明確に描けることです。また、地域にどのようなスキルを持つ人がいるのかを知ることで、連携もしやすくなります。卒業生たちによる地域に必要な新規ビジネスが多彩に生まれ、新たな展開として「プチ起業塾」が2020年12月に開校し、卒業生の女性起業家が登壇して女性たちの小さなビジネスを支援しています。

全部または一部を無断で複写複製することは、著作権法上での例外を除き、禁じられています