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Thu

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2021

カビ毒なぜなぜシリーズ(7)アフラトキシンの発がん性の指標

 食品に関する基準値が設定されているカビ毒のアフラトキシン(AF)は遺伝毒性発がん物質であるため、摂取量は可能な限り低減すべきとされており、耐容摂取量※1 は設定されていません。では、その基準値はどのように決められるのでしょうか。
 総AFのリスク評価には発がん性の最も強いAFB1が用いられ、主に2つの数値モデルがあります。その1つは1998年にJECFA※2 が提唱したもので、動物実験およびヒトの疫学調査から導き出した統計的数値を用い、体重1kg当たり1ng※3 のAFB1を70歳(動物は一生)まで毎日摂取した場合、1年間に10万人中何人がAFB1による原発性肝臓がんになるかという数値を算出しています。このモデルでは健常人で0.01人、B型肝炎キャリアで0.3人と健常人の30倍となっています。そして、この数値に各国のAF推定暴露量(摂取量が多くかつ汚染が多い食品が対象)を掛けて、その国における発がんリスクを推定します(B型肝炎キャリアの人口比も考慮)。また同時に、数種類の基準値でシナリオを作り、たとえば「とうもろこしのAF汚染が10ppb以上のものは食べない」としたとき10万人中何人ががんになるのかも推定します。さらに、基準値がある場合とない場合の差を計算し、国ごとの食生活や健康状態なども踏まえて策定しています。

※ 1 ヒトが一生涯摂取し続けても健康に悪影響を及ぼさないと推定される量
※ 2 FAO/WHO 合同食品添加物専門家会議、国際的なリスク評価機関
※ 3 1 ナノグラムは10 億分の1g
※ 4 parts per billion。10 億分のいくつかを意味する

元国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部 部長・一般財団法人 環境文化創造研究所 顧問小西良子

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