- 日替わりコラム
Mon
7/26
2021
仏教の本質を、「今、この時、自分がいる場所で実践することだ」とする考え方があります。
曹洞宗の開祖である道元は、鎌倉時代に海を渡り、中国で修行しました。道場には、師匠や修行僧の食事、仏様への供物のすべてを預かる「典座(てんぞ)」という役割がありました。
あるとても暑い夏の日に、歳をとった典座が、きのこを干していました。その姿を見た道元は、「なぜこんなに暑いときに、きのこを干しているのですか。あなたがやらなくとも、もっと若いほかの人にやらせれば良いのではないですか」と声をかけたそうです。
その問いに、典座は、「他(た)は是(こ)れ吾(われ)にあらず。更に何(いず)れの時をか待たん」と答えます。「これは私の務めだ。私は、今この瞬間にしかできない修行をしている」ということを伝えたのです。
日々の仕事で、「こうすれば良くなる」とか「このようにしてほしい」など、何事かを発見したり気がついたりしたとき、私たちは、いつもどのように行動しているでしょうか。
あなたが「今、ここ」の精神によって行動することで、そこから何かを学んでくれる人が現れるでしょう。そして、その学びを得て行動してくれる仲間が必ず増えていくはずです。
リテールHACCP研究所山森純子
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