- 日替わりコラム
Mon
8/16
2021
ある消費者がコンビニエンスストアでボトル入りミネラルウォーターを購入し、深夜にその水で薬を飲んだところ、強い苦味を感じました。明かりをつけてペットボトルの中を見ると白い物が浮いており、しばらくして吐き気を感じた消費者は保健所の夜間受付に届け出ました。
保健所の担当者が製品の販売会社に確認したところ、当該品は3万本以上ある輸入品で、同ロット品に苦情などの発生はありませんでした。
苦情品のボトル内には、板状の白色浮遊物と細かい粉末状の沈殿物が認められました。浮遊異物の分析検査の結果から、主成分はゼラチンであることが判明しました。また浮遊物の表面には印刷された記号の一部が確認できたことから、徐放性※ のゼラチンカプセル製剤がボトル内に混入し、膨潤、溶解したものと推定されました。
異物の混入経路の確定には至りませんでしたが、消費者が薬を飲用した状況が真夜中の暗い室内だったこと、飲用時の記憶が曖昧なことなどから、カプセル剤を服用時にボトルの注ぎ口から直接水を飲み、その際に薬が逆流してペットボトル内に混入したことが考えられました。
ボトルの注ぎ口に直接口をつけて飲む際には、多少なりとも口腔からボトルへの逆流が起こります。雑菌などの増殖を防ぐという面からも、一度開封したボトルの内容物は早く飲み切りましょう。
※ 徐放性の製剤とは、薬の成分が少しずつ長時間放出され続けるように加工された製剤
公益社団法人 日本食品衛生協会 技術参与・一般社団法人 関東学校給食サービス協会 顧問谷口力夫
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