- 日替わりコラム
Mon
9/20
2021
早いもので、春のお彼岸から半年余りが経過し、秋のお彼岸を迎え、あらゆる生物たちが、各々に、命の衣替えを始める季節となりました。
六波羅蜜の最後、6番目は「智慧波羅蜜」です。『般若心経(はんにゃしんぎょう)』でお唱えしますところの「般若(=智慧)波羅蜜」がまさにこれで、仏の智慧の完成を意味し、「到彼岸(とうひがん)(彼岸に到る)」とも申します。
3月にありました春のお彼岸が明けましての4月から、毎月1つずつ「布施(ふせ) ・持戒(じかい)・忍辱(にんにく)・精進(しょうじん)・禅定(ぜんじょう)・智慧(ちえ) 」の『六波羅蜜』という6種の菩薩行を紹介させていただき、お彼岸は、大切なご先祖さまを敬う供養週間という意味ばかりでなく、他ならぬ私たち自身が、迷いや苦しみの此岸(しがん)の世界から、悟りや幸せの彼岸の世界に到るための修行週間であることをお伝えして参りました。
そして、お彼岸が7日間設けられておりますのは、六波羅蜜行を実践するためであり、お彼岸の期間に限らず、日々の生活の中でこそ実践していただきたい、悟り(幸せ)に到るための道が六波羅蜜であることもお伝えいたしました。春から秋、秋から春へのお彼岸に到るまで7か月間ありますのも、毎日1年中が彼岸の世界であるという証です。
四季折々、命が廻ることを「生きる」と申します。毎日を幸せに生きていこうとする生き方が、「智慧波羅蜜」なのだと思うのです。
合掌
下野薬師寺別院 舎那殿壇 龍興寺 副住職阿波建多
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