- 日替わりコラム
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10/11
2021
新型コロナウイルス感染症の予防策として、「手洗い」の大切さは皆の知るところとなりました。北九州市の牧師・奥田知志さんは、NHK『こころの時代~宗教・人生~』のなかで、聖書の中に登場する「手洗い」を、今の時代ならではの興味深い解釈で紹介されています。
ある時、キリストと弟子たちに対して、「手洗いをしていない」と咎(とが)める人たちがいたそうです。当時の手洗いは、衛生的な意味合いのものではなく、汚れた存在とされた周囲の社会や人々と自分とのつながりを断ち切るための宗教上の儀式という位置づけでした。その手洗いをなぜ行わないのかという批判に対して、キリストは、「外から人の中に入って、人を汚すものはない。人の中から出てくるものこそ、人を汚すのだ」と伝えたそうです。奥田さんは、「周囲の人との関係性を断つためであれば、そのような儀式を行うつもりはない」というキリストの意思があったのではないかと述べています。
現代社会では、衛生的な理由による丁寧な手洗いがさまざまな場面で必要不可欠であることに疑いはありません。しかしながらこのエピソードは、自分たちの属する集団の決まりだけを盲目的に行うことによって、人間としてもっと大切なことを見失ってはならないということを考えさせてくれるものです。
リテールHACCP研究所山森純子
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