- 日替わりコラム
Thu
11/4
2021
本シリーズは、ある大手食品企業(以下、A食品)が、今から約50年前に導入した週休2日制を、企業改革という視点から考えるものです。前回までにご紹介したように、A食品では週休2日制という大きな課題のために業務量やそれに関わる人員を見直し、増員することなく週休2日制を実現し、タイムカードも廃止しました。最終回でご紹介するのは、「実践教育」についてです。
当時A食品では、生産部門の従業員への製造技術教育の時間が少ない状況でした。その理由を、ある管理職は「定年や中途で退職したとき、教えていた企業秘密を洩らされる恐れがあるからだ」と話していました。一方でA食品では「生産性運動三原則」を掲げており、私たちはこの運動を推進するためにも企業を強くするためにも、生産部門への教育が必要だと働きかけ、製造技術の実践教育が始まりました。カリキュラムは数学、理科、化学、文章作成などで、生産職全員が製造技術マニュアルを理解できるようになることを目標とし、教育を重ねました。
「週休2日制のための取組み」は、やがてA食品の職場風土として定着し、その後やってきたオイルショックで経営危機に見舞われた際にも社を挙げてエネルギー削減に努める源にもなりました。ひとつのミッションが、企業に大きな改革と団結をもたらしたのです。
遠山技術士事務所 技術士(農芸化学)遠山茂雄
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