- 日替わりコラム
Wed
11/10
2021
世界には水道や井戸が周囲になく、衛生的な水を手に入れられない人がたくさんいます。安全で衛生的なトイレを使えない人も、世界人口の5分の1に迫る17億人以上いて、屋外で用を足す人も5億人近くいるとされます。安全で衛生的なトイレがないと感染症が起こりやすく、下痢性疾患などによる乳幼児の死亡率とも因果関係があります。トイレがなければ、衛生問題はより深刻になります。そこで日本の住宅設備メーカーのLIXIL(リクシル)は2012年、より安全で低価格な簡易式トイレシステム「SATO」の初代製品を開発しました。これまでに、インド、バングラデシュ、フィリピン、ウガンダなど41か国で2500万人以上の衛生環境を改善しています※ 。
SATOは「Safe Toilet」の略で、「排泄後、水を流す」、「水と排泄物の重みで、底の蓋が開く」、「流した後に蓋が閉じて虫や悪臭を防ぐ」簡易式トイレシステムであり、国際開発機関やNGOとともに地域におけるトイレの製造、流通、販売網を構築しようとしています。採算性が課題でしたが、バングラデシュでは2018年度に黒字化しました。
LIXILは2020年、上下水道が未整備の地域でも手洗いができる「SATO Tap」を発表しました。新型コロナウイルス感染もあり、水道が利用できない地域でも手洗いを浸透させることが狙いです。
※ 2021年7月現在
『オルタナ』編集長森 摂
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