- 日替わりコラム
Mon
12/27
2021
ある病院の給水栓蛇口の末端から、肺炎の原因菌であるレジオネラ属菌が検出された事例があります。原因のひとつは、未使用の水道蛇口が複数あり、その末端に滞留水が生じたことです。長い時間滞留した水は、配管の中で汚染が進み、細菌が増殖することがあるので注意が必要です。
私が保健所に勤務していた時、未使用の水道蛇口が原因の水の汚染事例がありました。マンションの一室を事務所として使う方から「水が濁る」という相談を受けました。相談者が汲んだペットボトルの水を見たところ、明らかに茶色に濁っており、老朽化したマンションの給水管の鉄サビが原因だと思われました。ところが、給水管の取り替え工事をして間もないということで、現場で水道蛇口の水を検査したところ、水は透明で消毒の遊離残留塩素も検出され、汚染を受けているようには見えませんでした。
室内を点検した結果、原因は浴室にあることがわかりました。事務所として使われていて、浴室が物置きになっていたのです。当然、浴室の水栓は使われることがなかったため、長期間浴室の末端の給水管に滞留水が生じていました。サビの進行や細菌の増殖があったかもしれません。ほかの蛇口が使われて、水圧の変化があった時に汚れた水が移行して、濁り水になったと推測されました。
中臣昌広さんのホームページ「オフィス環監未来塾」はこちら→ https://kankan-mirai.com/
一般財団法人 日本環境衛生センター 技術調査役(環境衛生分野担当)中臣昌広
全部または一部を無断で複写複製することは、著作権法上での例外を除き、禁じられています
- アクセス