- 日替わりコラム
Thu
2/10
2022
近年の美術館・博物館の展覧会ではいろいろな関連イベントが催され、さまざまに楽しむことができます。コロナ禍でしばらく中断されていましたが、十分な感染対策により、再開されるようになりました。展覧会テーマについての講演会や展示作品の解説のほか、作品にまつわるワークショップなど盛りだくさんの企画があり、世代にかかわらず楽しみながら作品の美や技、資料の背景などを身近に感じることができます。
昨年、九州国立博物館で開催された沖縄県立博物館・美術館巡回展『手わざ―琉球王国の文化※ 』では、ワークショップ、展示解説、報告会、講演会が行われました。かつて琉球王国として独自の文化を繁栄させた沖縄では煌(きら)びやかな漆器や鮮やかな染織品が作られましたが、近代化の波や第二次世界大戦により、多くの有形無形の文化遺産とともに代々継がれたこころや技術などの「手わざ」も途絶えました。職人と研究者が協力して失われた手わざの解明に挑み、乗り越え、製作した模造復元品の展示と製作工程の紹介で構成された展覧会です。報告会で職人・製作者が語る言葉から次世代へ引き継ぐ想いを聴いた後に作品に対峙すると、復元模造品の煌めきや鮮やかな美がさらに強くこころにひびきました。
展覧会関連イベントは、ミュージアムからのプレゼントです。おかげで、作品とのこころにひびく出会いをさらに得ることができました。
※ 沖縄県立博物館・美術館「琉球王国文化遺産集積・再興事業」巡回展『手わざ―琉球王国の文化』は、沖縄県内を巡回後、
2021.10.19〜12.12に九州国立博物館、2022.1.15〜3.13に東京国立博物館で開催
放送大学 客員教授・九州国立博物館 名誉館員・一般財団法人 環境文化創造研究所 顧問本田光子
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