- 日替わりコラム
Tue
5/24
2022
私は原稿を書くとき、必ず二度、三度と書き直しをします。新聞記者で作家の近藤康太郎氏は、後輩に取材記事を5~6回書き直しさせるといいます。彼は、何回も書き直しをしていると「女神がおりてくる」と表現しています。「おまえが書きたいのは、これだろ」と教えてくれる、文章が「気づけよ」と言ってくるというのです。
私がこれと似た経験をしたのは、あるインタビュー原稿をまとめているときでした。インタビューの相手は、ある雑誌に「バーテンダーの人生」を連載しているプロのライターの方でした。最初は彼が語ってくれたことを単純に書き並べただけでしたが、それをもとに二度、三度と書き直しをしていくと、あるときから自分に「いったい、この文章で何を伝えたいのか、何を言いたいのか」と問いかけられているような感覚になったのです。書いた文章を俯瞰して見続けることで、「ものづくり」というキーワードが見えてきました。バーテンダーのカクテルづくりとプロのライターの書くという行為が「ものづくり」というキーワードでつながり、それを軸にインタビュー原稿をまとめることができました。
これは、何度も書き直しをしなければたどり着けなかったことだと思います。文章を書く際には一度で完成したと満足せずに、俯瞰したり視点を変えたりして書き直すことをお勧めします。
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一般財団法人 日本環境衛生センター 技術調査役(環境衛生分野担当)中臣昌広
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