- 日替わりコラム
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7/25
2022
「ディーセント・ワーク」とは、今世紀の労働環境の目標として国際労働機関のファン・ソマビア元事務局長が提唱したもので、「働きがいのある人間らしい仕事」と訳されます。仕事の就業時間や就業日数(休日日数)、労働内容、賃金などが、その人が人間らしく生きることを保証するものになっているのかを問うものです。
似ている考え方に、「ワーク・ライフ・バランス」がありますが、その意味を文字通りに、「労働(拘束時間)と余暇(自由な時間)の時間バランス」と単純に捉えてしまう人が少なくありません。そうではなく、「仕事や労働が生きることを豊かにし、人間らしさを形成するものになっていなければならない」というのが正しい解釈です。
日本では平成19年に「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」が策定され、長時間労働の削減、有給休暇取得の促進、育児、介護、男性の育児・介護休業の促進を通して、仕事と家庭の両立支援を推進しています。しかしながら現状を俯瞰してみると、日本はほかの先進国と比べて、たとえば最低賃金が少ない、有給休暇が取りづらい、男性の家庭(育児・介護)参加が少ないなどの実態があり、まだまだ浸透していないことがうかがえます。企業側と働く側が、一緒に改善していかなければならない大切な問題です。
東京造形大学 造形学部デザイン学科 教授地主廣明
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