- 日替わりコラム
Wed
8/3
2022
認知症は、おおまかにいえば脳の神経細胞が変性したために起こる持続的な認知機能障害です。高齢化した犬の病気の中にも、犬の認知症といえる症状があります。
飼い主からさまざまな行動を聞き出し、その中で認知機能低下に一致する兆候がどの程度あるかを調べたアメリカの研究レポートによると、11~12歳齢の犬の28%が認知機能低下の兆候を示していて、15~16歳齢では68%まで上昇したということです。認知機能低下の兆候があるからといってすべてが認知症につながるとは限りませんが、高齢化と認知機能低下は関係性があるといえます。
認知症と聞くと思考力・判断力の低下や計画・実行などの高度な認知機能障害を思い浮かべますが、脳は感覚器で得た触覚や圧覚、痛覚などの体性感覚の処理も行い身体をスムーズに動かすための指令もしているので、認知機能障害だけではなく運動機能障害も考慮する必要があります。
高齢犬がよたよた歩いたり、円を描くように歩いたり、突然腰を落とすことがあります。さらに進行すれば自力で立ち上がれなくなり、やがて寝たきりになります。このような運動機能に関する症状は、関節や筋肉や抹消神経の衰えや痛みによるものもあるでしょうが、脳内の神経全般の衰えも関わっていると考えられます。
井本動物病院 院長井本史夫
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