- 日替わりコラム
Mon
8/8
2022
高温が続く夏期は、食品取扱い施設で冷蔵設備が果たす衛生上の役割が特に重要です。
ある朝、小学校に出勤した給食調理員が、調理施設内の冷凍庫が故障していることに気がつきました。温度が上昇してしまった冷凍庫内の食材は廃棄し、急遽、代替食材による別メニューの給食で対応しました。故障の原因は、長年使用した冷凍庫の基盤の劣化でしたが、昨今の半導体不足のために冷凍庫を早期に買い替えることは困難な状況でした。
食品取扱い施設における冷蔵設備の急な機能停止は困りものですが、往々にして発生する事例でもあります。冷蔵庫に電源供給があり、冷蔵庫の密閉具合や庫内の食品配置にも問題がないにもかかわらず、庫内温度が下がらない場合の多くは、コンプレッサーの不具合が考えられます。
コンプレッサーの働きが弱ると、庫内温度が下がりにくくなるばかりではなく、消費電力が上がり、異音や水漏れなどの兆候も認められるようになります。冷蔵庫、冷凍庫、エアコンなど、設備機械類の経年による機能低下は避けられません。しかし、通常と異なる状況を敏感に察知し、早めの対処をすることによって、重大な事故の発生を未然に防ぐことは可能です。そのためには、食品取扱い現場を熟知した担当者による、日々の点検と機能確認の作業は欠かせないポイントです。
公益社団法人 日本食品衛生協会 技術参与・一般社団法人 関東学校給食サービス協会 顧問谷口力夫
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