- 日替わりコラム
Thu
8/11
2022
SDGsゴール15は、「陸の豊かさも守ろう」です。ゴール14の「海の豊かさ」も同様ですが、「豊かさ」とは主に「生物多様性」を指します。
生物多様性の傾向を測る指標「生きている地球指数(LPI)」によると、1970年から2016年の間に脊椎動物の個体群は7割近く減少したそうです。その主な原因は、無秩序な森林の伐採や海や湖での乱獲漁業、無計画なインフラ開発などの人間活動です。この傾向が続く限り、食糧難や保健システムの崩壊など、人間社会の破綻をもたらしかねません。私たち人間が現在の生活を維持するためには、地球1.6個分の自然資源が必要です。
日本で問題になっているのは、スギ・ヒノキなど人工林の放置です。これらの針葉樹は、戦後から1960年代にかけて国策として大植林が行われました。当時の建設資材や燃料不足に対応する目的でしたが、その後、外国材の輸入増加や建築工法の変化などにより国産材の需要が減り、管理しきれない多くの森が放置されています。日本の森林のうち約4割が人工林とされますが、多くが間伐もされないまま地面に光も入らず下草も生えない不健康な状態です。これらの放置林は大雨に弱く、土砂崩れを起こしやすいのです。また、ドングリなどの木の実が多い広葉樹林が減ったことで、クマやシカの害が増えたとの見方もあります。
『オルタナ』編集長森 摂
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