- 日替わりコラム
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9/5
2022
食品製造施設では、いろいろな機械類が使用されています。しかし、その機能を十分に活かすためには、「機械に故障はつきものであること」を忘れずに適切なメンテナンスを行うことが必要です。
昨年、保育施設や小中学校の給食に提供された牛乳が原因となり、下痢原性大腸菌(推定)による大規模食中毒が発生しました。直接の原因は、牛乳製造工場における殺菌工程での加熱不十分と推定されました。
工場で記録された牛乳殺菌の加熱温度チャートに問題は認められませんでした。しかし、調査を進める過程で、殺菌機の温度センサー内部のコードが劣化し、一部は断線していたことが判明しました。そのために温度センサーの電気抵抗値計測に狂いが生じ、設定温度に達していないにもかかわらず正常な値として記録されていました。温度センサー故障の原因は、センサーの経年劣化と事故品製造日前の落雷による過電流の影響などが考えられました。
食品製造における加熱調理工程の多くは、細菌性食中毒防止のための重要な工程です。加熱温度の測定に際しては、測定箇所や測定方法による誤差と機器の特徴を事前に把握し、最適な方法を定める必要があります。さらに、使用する温度測定機器の校正※ を定期的に行うことは、常に期待した効果を得るための必須条件です。
※ 測定器が示す値が正しく調整されているかどうかについて、その精度を確認する作業
公益社団法人 日本食品衛生協会 技術参与・一般社団法人 関東学校給食サービス協会 顧問谷口力夫
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