イカリホールディングス株式会社 よりそい、つよく、ささえる。/環文研(Kanbunken)

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9/12

2022

コロナ禍のネズミ

 2020年4月、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が発出され、飲食店に営業時間の短縮や休業が要請されたことは、皆さんの記憶に新しいと思います。この要請は、飲食店から排出される生ゴミに依存しているドブネズミの生活にも大きな影響を与えました。
 筆者は、東京都内のある大きな飲食店街において、2019年と2020年のドブネズミの捕獲成績を比較しました。コロナ禍前年の2019年9月に設置したケージトラップには、14個体のドブネズミが捕獲され、トラップ設置時、路上に出された生ゴミに群がるドブネズミが観察されました。また、ネズミたちの営巣場所は、ビルとビルの隙間に確認されています。
 ところが、コロナ禍の2020年11月に同じようにトラップを設置したところ、捕獲されたドブネズミは前年より10個体も少ない4個体でした。この結果と一致するように、設置時にドブネズミの姿は確認されたものの、以前のような個体数ではありませんでした。このことから、飲食店街にいるドブネズミの数が大きく減少したと推察されました。
 これは、緊急事態宣言に伴う飲食店の休業要請により生ゴミが減少したことが、ネズミ防除方法のひとつである生ゴミの管理と図らずも一致したためと考えています。

イカリ消毒株式会社 取締役・一般財団法人 環境文化創造研究所 評議員谷川力

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