- 日替わりコラム
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2023
昨夏は、記録的な猛暑でした。夏期の調理現場は高温になりやすいのですが、ある自治体(市)の公立小中学校46校のうち40校の給食施設に冷房設備がありませんでした。調理従事者へのこまめな水分補給や適宜の休憩、各校1台のスポットクーラー配備などの対策を行っていましたが、猛暑が続いた6~7月には熱中症の患者が続出してしまいました。
高度経済成長期に建設された小中学校の給食施設は、教室に影響のない北側に配置される例が多く、空調設備も不十分なために、夏は暑く冬は寒い場所にありました。現在は、厚生労働省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」に温度・湿度の目安※ が示されていますが、学校施設自体の老朽化問題の影響もあって、その実施状況はまだまだ不十分です。
たしかに給食施設への新たな冷房配備には多額の費用が必要ですが、計画的に冷房配備率100%を達成している自治体もあります。今後も猛暑が予想される夏期に備えて、優先課題として給食施設への冷房配備に取り組む必要があります。
また、換気は感染症対策としても重要性が指摘されています。設備配備に際しては、エアコン(冷暖房設備)だけではなく、温度、湿度、空気の流れと換気を考慮した「空調設備」による作業環境改善も考慮したいものです。
※ 「施設は十分な換気を行い、高温多湿を避けること。調理場は湿度80%以下、温度は25℃以下に保つことが望ましい」と示されている
公益社団法人 日本食品衛生協会 技術参与・一般社団法人 関東学校給食サービス協会 顧問谷口力夫
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