- 日替わりコラム
Mon
2/6
2023
コロナ禍前のある資料によると、OECD加盟国の中で日本の年間平均労働時間は1680時間で、ドイツの1363時間と比べて317時間も多いことがわかりました。1時間あたりの労働生産性は、日本の46.8ドルに対してドイツは72.9ドルで、その差は26.1ドルとなっています。同様にフランスは平均労働時間が1520時間で、1時間当たりの生産性は72.2ドルです。つまり、日本は労働時間が長いのに生産性は極めて低い、ということです。
ちなみに、ドイツでは労働時間法により1日8時間以上働いてはならず、1日の労働時間が10時間を超える場合には社員数を増やさなければなりません。同様に、フランスでは1週間の労働時間は35時間と決められており、日本の42時間より7時間短く設定されています。
ではなぜ、ドイツやフランスは日本より労働時間が短いのに生産性が高いのでしょうか。そのヒントが、イギリスの政策にあります。イギリスでは2000年から「仕事と生活の調和キャンペーン」、いわゆるワークライフバランスの強化を始め、仕事と家庭の両立を推進する企業を国が支援してきました。結果として、出生率も向上しています。
労働時間と生産性の関係には正答はありませんが、さまざまな工夫を通して健康で幸福な労働環境を構築していくことが求められています。
東京造形大学 造形学部デザイン学科 教授地主廣明
全部または一部を無断で複写複製することは、著作権法上での例外を除き、禁じられています
- アクセス