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Thu

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2023

誌上でめぐる世界の恐竜化石(10)オーストラリア

 大きな恐竜たちがいた中生代は、南米大陸、南極大陸、そしてオーストラリアが陸続きでした。
 オーストラリアの恐竜の中で、まず私がご紹介したいのが、アウストラロヴェナトルです。クィーンズランド州で約9500万年前の白亜紀後期の地層から発見された下顎、前あし、後ろあしなどの化石に基づいて、2009年に「アウストラロ(南)のヴェナトル(狩人)」という意味で命名されました。推定全長6m、推定体重500kgの中型の肉食恐竜です。本誌10月号のマイプ・マクロソラックスと同じメガラプトル類に分類されます。ティラノサウルス類などとの最大の違いは、メガラプトル類は手の指に大きなカギ爪があることです。
 私は授業や講演会などで、マット・ホワイト氏(オーストラリア・ニューイングランド大学)のアウストラロヴェナトルの前あしに関する2015年の論文を紹介することがあります。この論文は、アウストラロヴェナトルのヒジと手首の動きを現代の鳥類と比較しています。現代の鳥類の一例としてニワトリが図示されているのですが※ 、私は皆さんに、手羽先料理を食べた後は骨を捨てずにきれいにしてこの論文の図と比べてみてくださいと話します。現代の鳥類から、恐竜の研究につながることを感じてもらえると考えるからです。

※参考画像はこちら(この中でA、C、G、E がニワトリ)
→ https://journals.plos.org/plosone/article/figure?id=10.1371/journal.pone.0137709.g004

独立行政法人 国立科学博物館 副館長・研究調整役真鍋真

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