- 日替わりコラム
Wed
2/22
2023
現在、日本の犬のほとんどは家の中にいます。犬は少数の群れで暮らす動物ですから、この暮らし方は犬の精神衛生上も悪くはありません。しかし一緒に暮らしていても、「犬が、言うことに従ってくれない」と嘆く飼い主がいます。飼い主に従わないからといって、好き放題にしているわけではありません。成長した犬は犬なりに、飼い主家族を気にしながら日々を暮らしています。
「犬が従ってくれない」という悩みを抱える場合、その原因として、飼い主が「一緒に暮らすために必要な言葉」を犬に教えていないことが挙げられます。可愛いと思っている間に犬は成長し、教える時期を逃してしまっているのです。「わかりやすい飼い主の振る舞い」と「それに一致した飼い主の言葉」を教えず、家族間で共通性のない「犬への指示語」を使っていれば、犬は混乱します。にもかかわらず、大きな声や怒った声を出されても困ります。犬の聴力は飼い主より、よほど良いのです。
それでも大きな不都合なく人と犬が暮らしていけるのは、飼い主の動きや声のトーンを読み取り、犬なりに判断しているからです。こんな話をしますと「犬ってそんなに頭がいいの⁉」と驚かれますが、人が考える頭の良さとは別の頭の良さを、犬はたくさん持っています。
異種の動物と同居するためには、明確な言葉と「言行一致」が大事です。
井本動物病院 院長井本史夫
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