- 日替わりコラム
Fri
3/3
2023
色彩の観点からSDGs(持続可能な開発目標)を考えてみると、最近は地下鉄の路線図や地図表示などにユニバーサルカラーの利用が見られるようになりました。高齢者や色弱の人にも配慮し、皆が暮らしやすい社会を作るための色彩活用です。また、トイレの入り口のマークや小学生のランドセルなどは、ジェンダーの差別につながらないよう、これまでの固定概念を取り去った色選びが求められています。
サステナビリティとは、地球環境と人間社会が良好な関係を保ちながら共存し、発展し続けていこうという考え方です。将来にわたって人間の活動を持続させるためには、エコロジー、経済、政治、文化の4つの分野が重要になります。すなわち、色彩から生まれた文化の継承も大切なSDGsのひとつといえるでしょう。
日本人は長い歴史の中で、自然からインスピレーションを得て、多くの色彩文化を創造してきました。平安時代には、四季の美しい色から十二単(じゅうにひとえ)の「かさねの色目」の雅な配色が生まれ、室町〜安土桃山時代には、日本人の精神性や謙虚さを色で表わした「わび、さび」の渋い色が尊ばれました。江戸時代には、幕府から贅沢を禁止された町人たちが茶色と灰色を粋に着こなす「四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねず)」という言葉も生まれています。色彩には、人々が心豊かに暮らすためのヒントが秘められているのです。
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https://colorist.or.jp/
一般社団法人 日本カラリスト協会 カラリスト渡辺結美
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