- 日替わりコラム
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3/13
2023
食品における「産地偽装」がたびたび報道される昨今、「トレーサビリティ(生産から消費までの追跡可能性)制度の確立」は、重要な課題のひとつです。
東京大学大気海洋研究所の牧野光琢氏(教授)は自身の著書の中で、制度研究の存在意義について「仮に制度がない場合、どうなってしまうのかを考えること」、「制度を使って何ができるのかを考えること」のふたつがあると述べています。
もし、トレーサビリティに関する決まりがなかったら、その工程管理に対して事業者ごとにばらつきが生じるでしょうし、最悪の場合、偽装の温床になってしまうかもしれません。また万が一、偽装が発覚した際には、原因究明に時間や手間などがかかるために迅速な対応ができず、消費者からの信頼を失ってしまうことにもなりかねません。
一方で、地域の名産品の原材料や製造工程などについて、自主的にしっかりとしたトレーサビリティの決まりを作り、複数の事業者が一丸となって取り組んでいる事例もあります。このようにしてトレーサビリティが確立された偽装のない製品は、ブランド作りのための強固な基盤を得ることができます。これらの取組みは、「制度を利用して何ができるのか」を考え、実践したものといえるでしょう。
リテールHACCP研究所山森純子
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