- 日替わりコラム
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4/3
2023
認知症の約7割を占めるアルツハイマー病の新薬はなかなか発売されませんでしたが、ようやく市場に出回ると予測される薬が現れました。日本のエーザイが主導し、米国のバイオジェンと共同開発している「レカネマブ」という薬です。
アルツハイマー病は、人の脳に蓄積されるアミロイドβ(ベータ)やタウというたんぱく質が原因と考えられています。現在、認知症に対して医学的に効果があると証明されているのは、アリセプト®、レミニール®、イクセロンパッチ®とリバスタッチ®の4薬ですが、これらは神経の情報を伝えやすくして症状の改善を狙うもので、病気を治すわけではありません。これらの薬を使うと一時的に認知機能は良くなりますが、やがて使用前と同じように進行していきます。一方、「レカネマブ」はアルツハイマー病の原因とされる脳内の物質に直接作用し、その進行を緩やかにするというもので、医学誌『The New England Journal of Medicine』の発表によると、同薬は18か月間の臨床試験において進行速度を4分の1ほど遅くすることができたそうです。
課題は、「レカネマブ」の使用時期です。脳へのダメージが大きくなる前の初期段階に投与する必要があります。多くの人は進行してから病院へ行くため、早期発見が大きなポイントとなります。
介護福祉士中村和彦
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