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Tue
4/4
2023
食品事業者にとって安全で価値ある商品を提供することは、なによりも重要な責務です。そしてそれは一人で実現することはできず、他者との協働が不可欠です。そのためには、専門的な技術や知識のようなテクニカルスキルだけではなく、ノンテクニカルスキルと呼ばれる「個人のスキルを発信し、チームで共有する力」も欠かせません。
米国で開発された「チームSTEPPS(Team Strategies and Tools to Enhance Performance and Patient Safety)」は、チームとして取り組むことで医療事故を防止するためのエビデンスに基づくコミュニケーションツールです。日本でも導入が進められていますが、その手法はシンプルで実践的なものが多く、食品衛生においても活用することができそうです。
たとえば、チームSTEPPSの中に「CUS(カス)」という手法があります。この手法は、決定的な事故が発生してしまう前の段階で、なにかおかしい、不安であると感じながらも声を上げにくい組織の状況を変えるためのものです。人間はさまざまな要因により間違いを犯してしまうものですから、メンバーが感じている不安や違和感について、安心して率直に声を上げてもらうことができるようになれば、ヒヤリハットの段階で事故を防ぐことのできる可能性が高まります。
リテールHACCP研究所山森純子
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