イカリホールディングス株式会社 よりそい、つよく、ささえる。/環文研(Kanbunken)

DAILY COLUMN

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4/21

2023

薔薇の色と香

 晩春から初夏へと向かう頃、彩り豊かに咲き誇り、香り立つのは薔薇です。
 赤い薔薇の祖先ガリカローズは、フランス南部のガリア地方に自生しており、古代ローマ時代の博物誌にも記録されていました。花は香りの良いローズ・オイルに、実のローズ・ヒップはハーブ・ティーにします。ローズ・オイルは古くから精油として最も有名であり、香水やアロマテラピーでも主要な香料成分です。
 現代薔薇の4大系統はハイブリッド・ティー・ローズ、フロリバンダ・ローズ、ミニチュア・ローズ、クライミング・ローズです。日本にも10種ほどの野生種があります。このうち房咲きのノイバラと蔓が伸びるテリハノイバラが、それぞれフロリバンダ・ローズとクライミング・ローズの品種づくりに用いられました。淡紅色の花のサンショウバラは葉がサンショウに似ており、また、紅色か、まれに白色の花のハマナシ※ は、食べられる果実がナシに似ています。
 薔薇の花言葉は花色と贈る本数で異なり、とても多様で、まるで複雑な暗号のようです。赤い薔薇1本を贈るのが、純粋でよいかと思います。薔薇色の人生の門出である結婚式では新郎新婦を祝うために、参会者は薔薇の花びらを2人に振り撒きます。

※ ハマナシは地方名でハマナスとも呼ばれている

東京学芸大学 名誉教授・植物と人々の博物館 研究員木俣美樹男

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