- 日替わりコラム
Tue
4/25
2023
現在、さまざまな「モノ」や「コト」で、リアルかバーチャルかという選択肢が増えています。
では実際に、バーチャルなオブジェクトはリアルなオブジェクトの代替となるのでしょうか。そんな疑問に答えるいくつかの研究がありますが、ここではオフィス内の植栽にスポットを当てた研究を紹介したいと思います。
その研究では、リアルな植栽と、それと同じ植栽を撮影して投影した画像とを比較し、人の脳血流測定や印象評価を比較しました。脳血流測定の結果では、いずれも情報処理活動に優位なことがわかりましたが、情報処理の反応速度はわずかではあるもののリアルのほうが優位なことがわかりました。疲労回復に関しても、同様にリアルのほうが優位であり、実験後のアンケートでもリアルのほうが「居心地が良かった」、「集中できた」との回答を得ています。
オフィス内に植栽を入れようという運動は、1960年代から本格化しました。パーティションの代わりとなり吸音効果が期待できるだけではなく、リフレッシュにもつながるといわれてきましたが、やはりその効果は間違いなくあり、加えて、この実験からバーチャルではなくリアルのほうが優位であることがわかりました。
東京造形大学 造形学部デザイン学科 教授地主廣明
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