- 日替わりコラム
Fri
4/28
2023
農場(ここでは鶏舎、豚舎、牛舎などを指すこととします)には餌が豊富にあり、冬でも暖かく、しかも隠れられる場所が多いためネズミが快適に過ごせます。さらに、殺鼠剤やトラップが利用しにくく、衛生対策に投資することが非常に難しい環境です。
しかし、農場におけるネズミは、豚熱、高病原性鳥インフルエンザ、サルモネラ症などの感染症の媒介者となりうるため、到底無視することはできません。これら感染症の媒介となるのはネズミの排泄物だけではなく、病原体などを体表に付けて移動したり、ほかの動物と接触したりすることで感染を広げることもあるといわれています。そのほか、飼料の食害による損失、配線ケーブルなどの咬害、各種動物へのストレスなど、経済的・精神的な被害も数多く引き起こします。さらに、断熱材を食い破るので、熱効率を下げてしまうこともあります。
農場におけるネズミの防除方法は、ほかの場所と変わりません。(1)生態を知ること、(2)被害を知ること、予測すること、(3)防除方法は環境的対策を中心に組み合わせること、(4)IPM(総合的有害生物管理)を取り入れること、(5)生息の濃淡を区画で考え、生息の多い場所から対応すること、(6)オールアウト※ 時での対策を強化すること、(7)捕獲記録を解析すること、となります。
※ 主に養鶏場で利用される管理方法で、同じ日齢の鶏を一斉に淘汰すること。淘汰の理由は、若い鶏と年老いた鶏を一緒に飼育すると、病気が入り込む危険性が高くなるため
イカリ消毒株式会社 取締役谷川力
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