- 日替わりコラム
Wed
5/3
2023
ここ数年、利用客が店舗内の備品を汚損するなど、飲食店または運営会社に損害を与える事案が散見されます。最近話題になった、回転寿司店で流れている寿司にワサビをつけて食べられない状態にした例では、器物損壊罪(刑法261条)と偽計業務妨害罪(刑法233条)が成立し得るほか、店舗側はそのような目的で来店したことが事前にわかっていれば入店を拒否したと考えられるため、施設の管理権者の意思に反する入店として建造物侵入罪(刑法130条)も成立し得るといえます。
また、民事上はそのような行為により店舗に損害を与えた利用客は、不法行為責任(民法709条)を負います。金額については、たとえば前述の回転寿司店の事案では、廃棄することになった商品の額に加え、店舗の清掃・消毒などの費用、さらにそのようないたずらへの対応で店舗を休業させた場合や店の評判が落ちたことによる売上の減少に伴う損害の賠償義務を負うことになります。
このような迷惑行為に対しては、「迷惑行為はすぐに警察に通報します」などの文言を記載したポスターの掲示や監視カメラを設置することなどの対応が考えられますが、多種多様な利用客が想定されるなか、すべてを防ぐことは簡単ではありません。個別の事案それぞれに厳正に対処し、迷惑行為を行った者の責任を周知させていくことが重要です。
アジアンタム法律事務所 弁護士高橋辰三
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