- 日替わりコラム
Mon
5/15
2023
夏季に猛暑が続く近年は、脱水症予防のためにも水分と塩分のこまめな補給を心がけることが大切です。特に、加熱調理のために熱源を多く使う食品取扱い施設では、従事者への十分な配慮が必要です。
初夏のある日、テニスを楽しんでいた複数の人たちが、水筒に入れておいたスポーツ飲料を飲んだところ、頭痛、めまい、吐き気などの症状を起こしました。ステンレス製水筒の内側にあった亀裂部分に酸性のスポーツ飲料が染み込み、水筒内部の保温構造部分の銅と接触して溶出したことが原因でした。
また、ある保育園では、アルミニウム製の古いやかんで調製した乳酸菌飲料を飲んだ園児が、吐き気や嘔吐などの食中毒症状を起こしました。このやかんは長期間にわたりお湯やお茶用として使われていたため、水道水中に含まれる微量の銅がやかん内部表面に少しずつ蓄積していました。そのやかんに酸性の乳酸菌飲料を入れたことで、銅が溶出したものと考えられました。
銅は人体にとって必須元素ですが、過剰に摂取すると吐き気、嘔吐、下痢などの食中毒症状を起こすことがあります。食品取扱い施設において同様の食中毒を起こさないためには、機械器具類の日々の点検、材質に合った適切な洗浄に加え、表面を傷つけない丁寧な取扱いが大切です。
公益社団法人 日本食品衛生協会 技術参与・一般社団法人 関東学校給食サービス協会 顧問谷口力夫
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