- 日替わりコラム
Tue
5/23
2023
「ステークホルダー」とは、企業や組織にとっての「利害関係者」という意味です。哲学者のR・エドワード・フリーマン氏が1980年代に「シェアホルダー(株主)」をもじって使用したのが始まりで、それほど古い言葉ではありません。化粧品企業大手のTHE BODY SHOP 創業者アニータ・ロディック氏も、盛んに使っていたことで知られます。
アニータ・ロディック氏らサステナブル経営の先駆者たちは、「会社は、株主だけのものではない。地球や社会、途上国の貧困層など、幅広い利害関係者を見据えた経営をしなければならない」と訴えました。
組織の社会的責任の国際規格ISO26000は、ステークホルダーを、「組織の何らかの決定または活動に利害関係を持つ個人またはグループ」と定義しました。具体的には株主、顧客、消費者、従業員、取引先、政府・行政機関、金融機関、債権者、競合企業、地域社会、NGO/NPOなどを指します。さらには、将来世代や自然環境など、「声なきステークホルダー」も含まれ、企業にとってまったく関係がない存在はないと考えたほうがよいのです。世界経済フォーラムは2020年、「ステークホルダー資本主義」を掲げました。配当や株主利益のことばかり考え、気候変動やサプライチェーンの人権問題、労働問題などへの対処を怠れば、結局は企業の業績が損なわれるとの意見で一致したのです。
『オルタナ』編集長森 摂
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