- 日替わりコラム
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7/10
2023
生物の新種を発見した人は、それに命名をしなければなりません。生物の種名の付け方には厳格なルールがあります。分類学の祖であるリンネの提唱した二名式命名法で、1つの種名(学名)は属名と種小名の2つの部分からなります。たとえば、リンネが命名者であるMusca domesticaは、前段がハエを意味する古代ラテン語の属名、後段が家を意味する種小名、和名はイエバエです。二名式命名法は、それまでの単名式に比べて、違う種が同じ名前になってしまう弊害を激減させたことから、広く受け入れられていきました。なお、新種を発表する際、学名は必須ですが和名は必須ではありません。
どのような学名を付けるかは命名者の自由です。人名も比較的よく使われるものの1つです。属名と種小名が両方とも人名に由来する実例として、Leishmania donovani(ドノバン リーシュマニア)があります。サシチョウバエによって媒介される病原寄生原虫の名称です。学名に人名を使う場合、属名には末尾にia、種小名にはiを接尾辞として付け加えます。Leishman氏、Donovan氏はこの病気を研究した医師です。
どんな人名を選ぶかも命名者の自由ですが、命名者本人の名前だけは使わないことになっています。当該新種の最初の採集者に敬意を表して、種小名を奉献することはよくあります。
稲岡徹
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