- 日替わりコラム
Thu
8/3
2023
リスクコミュニケーションとは、「社会を取り巻くリスクに関する正確な情報を関係者間で共有し、相互の意思疎通を図ること」です。
同志社大学心理学部教授の中谷内一也(なかやちかずや)氏が、そのリスクコミュニケーションについて興味深い見解を述べています。
中谷内教授は、さまざまな分野の専門家が「リスクコミュニケーションに期待する」と述べるとき、いわゆる発信する側の見解である「その事象に関するリスクは決して高くないこと」や、「したがって、過度に不安に感じる必要はない」というような結論で相手を納得させ、承認してもらうことを期待する意が含まれているのではないかというのです。そしてそれは「説得的コミュニケーション」であり、リスクコミュニケーションとは似て非なるものであると述べています。
このことは、お客様に対し、私たちが食品衛生や食品安全に関するご報告を行う場面においても示唆に富むものです。その場で決着させようとするのではなく、一旦持ち帰りとすることが総合的に良い場合もあるでしょうし、そのような経験からなんらかの新しい視座を得られることがあるかもしれません。受け手が意見を押し付けられたと感じることがないよう、難しい局面ほど、双方向的なコミュニケーションを意識することが大切です。
リテールHACCP研究所山森純子
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