- 日替わりコラム
Fri
8/4
2023
「養生」とは、「生命を養うこと。健康の増進をはかること。衛生を守ること。摂生。病気・病後の手当てをすること。保養」(広辞苑)とされます。中国で老子、孔子の時代に誕生し医学に取り入れられていた養生思想ですが、日本では、江戸時代の本草学・儒学者の貝原益軒(かいばらえきけん)が『養生訓』正徳2年(1712年)で、運動・栄養・休息いずれも過不足なく生活をする、控えめな飲食、口腔衛生などの重要性を説き、庶民の生きる知恵として広がっていきました。奇しくも300年の時を経た今、国の健康プロモーションである「健康日本21」でのテーマは「運動・栄養・休息」であり、さらに「口腔衛生」も挙げられています。しかし、生活習慣病のリスクが高まる「中高年の肥満」や「若年女性の痩せすぎ」は一向に改善されていません。「健康日本21」は第3次の取組み(令和6年度~)が始まります。
人生100年時代において予防のための生活習慣や行動が注目されていますが、「養生」が伝える、過度でないこと、つまり「ほどほど」であること、自分が自身の身体に向き合い「身体の声を聴く」こと、そして「自らの工夫」で体調を整えていくことこそが大切なのでしょう。「養生」(YOJO)は、「おもてなし」、「生きがい」と並ぶ、まさに現代日本のウエルネスにおける重要な要素なのです。
一般社団法人 Jウエルネス振興会 代表理事江渕敦
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