- 日替わりコラム
Mon
8/14
2023
国語の時間に学んだ『枕草子』や『徒然草』。今も冒頭部分を暗記している方がいるかもしれません。学校を卒業してしまうと古典に触れる機会はなかなかないものですが、現在も古典にあるような表現を知らず知らず使っていることがあります。例を見ましょう。
知る人ぞ知る=詳しい人ならよく知っている、といった意味。「係り結び」という語法を使って意味を強めています。
恐るるに足らず=怖がるまでもない、といった意味。「恐るる」は古い言い方で、現在は「恐れる」というのが一般的です。
行きつ戻りつ=行ったり来たりする、といった意味。「つ」は並列を表す言葉で、「組んずほぐれつ」などにも見られます。
古き良き=「古き良き時代」など、過去を懐かしむ意味で使います。現在は「古い」、「良い」というのが一般的です。
願わくは=「願わくは幸せな1年になりますように」など、こうありたいという気持ちを表します。漢文などに見られた表現です。
この中にあなたが使う言葉はありましたか。古典の中にある言い回しや文法は、今でも生活の中に現れ、日本語を豊かにしています。一方で、若い人や日本語を勉強中の外国の方には通じないことも多いでしょう。伝え方に気をつけながら、日本語の深さを味わいましょう。
文化庁国語課 主任国語調査官武田康宏
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