- 日替わりコラム
Wed
8/30
2023
本誌7月号で解説した飲食店と対策そのものはそれほど変わりませんが、面積が大きい建築物のネズミ対策は非常に難しくなります。
一般的なネズミ対策はまず生息環境を確認し、食物の管理、通路の遮断、整理整頓をします。次にネズミの捕獲に利用する粘着トラップは、複数枚を一度に利用したほうが良いでしょう。最後に使う殺鼠剤は食品工場などでは置けないところもありますが、使用する場合は場所を限定します。そして、それらの防除方法の組み合わせが必要です。すなわち、環境改善、捕獲、殺鼠剤利用を組み合わせたIPM(総合的有害生物管理)に基づく理念を取り入れて対策を行います。
具体的には、ネズミの生息および活動状況を監視し、トラップなどを用いた捕獲や目視調査を定期的かつ客観的に実施します。調査結果を基に維持管理水準を設け、建築物内で常に衛生的に良好な環境を保つための判断材料とします。特定建築物※ (3000平方メートル以上の不特定多数の人が入る建物)では、「快適な環境」、「このまま放置しておくと危険な環境」、「危険な環境」の3段階に分けて、なんらかの水準(たとえば目撃、証跡の有無の数など)を設け、現状でどの水準に建物があるのかを判断し、最終的にはその水準内の決められた作業で「快適な環境」を目指します。また、すでに快適な環境であれば、それを維持します。
※ 建築物における衛生的環境の確保に関する法律で定められた建築物のことを指す
イカリ消毒株式会社 名誉技術顧問谷川力
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