- 日替わりコラム
Wed
9/6
2023
2023年3月30日、キヤノンの株主総会で、御手洗冨士夫代表取締役会長兼社長CEOの取締役再任議案への賛成率は50.59%でした。この数字は異例の低さで、必要賛成票数である過半数ギリギリ、からくも再任となった形です。NHKなど一部のメディアでは「キヤノンショック」と報道しました。再任議案への賛成率が低かった理由は、欧米の機関投資家が、同社に女性役員(執行役員を除く取締役)が一人もいないことを理由に反対票を投じたためです。いま、企業は取締役会や従業員のダイバーシティ(多様性)を問われています。
最近、「ESG」という言葉をよく耳にします。「E」は環境、「S」は社会、「G」はガバナンス(企業統治)です。そのガバナンスの重要テーマの一つが「ダイバーシティ」なのです。2022年7月の内閣府男女共同参画局の調べによると、東証プライム上場企業のうち女性取締役が一人もいない企業の割合は、18.7%(344社)でした。
投資家が反対票を投じるのは、「女性が出世できないのはかわいそう」だからではありません。ジェンダー(性別)、国籍、年齢、障がいの有無などにかかわらず多様性がある組織の方が利益率が高いことが、専門家の調査などで明らかになったからです。投資先のダイバーシティは利益にそぐうもの、という考え方が広がってきたのです。
『オルタナ』編集長森 摂
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