- 日替わりコラム
Thu
10/19
2023
私たちは人前で話すとき、相手がどんな人であるか、人数が少ないか多いかなどによって、言葉を言い換えたり、敬語の使い方を加減したり、いろいろな工夫をしているものです。
1対1での会話や、少人数の集まりなどでは、相手に合わせ、表情をうかがいながら話を進めることができます。親しい人であれば、くだけた言葉を積極的に使ったり、「おもしろい」、「好き」、「楽しい」といった感情を口にしたりすることで、コミュニケーションは深まります。
一方、相手の人数が多くなると、打ち解けた言葉は使いにくくなります。十数人、数十人と相手が増えていくと、同じ組織の中にいる人たちや同好の仲間ばかりであったとしても、「です・ます」調の敬語をベースとした、形式を重んじた話し方になっていきます。
そして、外部の人や不特定多数の人たちを相手にするような場合には、より丁寧な言葉遣いになります。前もって共有している情報がほとんどないため、自分には身近な言葉だとしても専門用語は使わず、誰にでも理解できる言葉に置き換えるよう心掛けます。感情を前に出すことは控え、できるだけ冷静に論理立てて話すことを目指します。
こうした工夫は自然としているものですが、人前で話すのが苦手という方は、少し意識しておくと助けになるかもしれません。
文化庁国語課 主任国語調査官武田康宏
全部または一部を無断で複写複製することは、著作権法上での例外を除き、禁じられています
- アクセス