マンションの認知症問題

　近年は、戸建住宅のほかマンションにも多くの認知症の方が暮らしています。大勢が共同で暮らすマンションは、戸建住宅以上に多くの問題を抱えているようです。大手マンション管理会社の大和ライフネクスト株式会社が2021年秋に公表した、管理員対象のアンケート調査をみると、現場の困惑が伝わってきます。
　「デイサービスの予定がない日にエントランスで待ち続ける」、「電気、ガス器具が壊れたと言って部屋に来るよう何度も依頼される」、「修繕工事中の足場に入り込んでしまう」、「他人の自転車のかごにものを入れる」、「隣人が家に侵入して家財を盗んだと訴える」などさまざまな事例が報告されていますが、中でも最も多かったのは「同じ話を何度も繰り返す」でした。そのほか、「いわゆる『徘徊』」、「指定日以外のゴミ出し、ゴミの散乱」や、「自分の部屋に戻れない」、「オートロックが解錠できない」といった自宅への出入りに関する事例も数多くありました。
　たとえ認知症の人であっても、管理員が特定の居住者に対し個別に対応・支援することは、業務の範囲外になります。しかし見て見ぬふりはできず、声をかけることが多いようです。「話を打ち切ることができず、勤務時間を超過してしまう」など、管理員の苦悩がうかがえます。マンションの認知症問題への早急な対応・対策が望まれます。

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