- 日替わりコラム
Thu
11/9
2023
労働者の健康維持のため労働時間規制が進みましたが、一律の労働時間規制に馴染まない高度の専門的知識・技術または経験を有し、労働条件に関し高い交渉力を有するとみられる者について、時間外労働の上限規制や割増賃金などの適用除外を認める高度プロフェッショナル制度が、2019年4月から導入されました。この制度の対象業務は厚生労働省令で定められ、具体的には、金融商品の開発業務、投資や資産運用業務、顧客の事業運営などの調査・分析・考案などのコンサルティング助言の業務など、性質上、従事した時間と従事して得た成果との関連性が高くない業務で、年収要件は1075万円以上となっています。
同制度導入にあたっては、会社で労使委員会の決議を行うとともに、本人の同意が必要です(事後に撤回も可)。さらに使用者は、当該労働者の労働時間(健康管理時間※ )をタイムカードやPCなどで客観的に把握するとともに、年間104日以上かつ4週間を通じ4日以上の休日の確保と、導入企業の実情に応じた選択的な健康・福祉確保措置をとる必要があり、1週間の健康管理時間が40時間を超え、その超過がひと月あたり100時間を超えた労働者に対しては、医師の面接指導が義務付けられます。事業者は面接指導の結果に基づき労働者の意見を聴き、健康管理時間を短縮するための配慮の措置が義務付けられています。
※ 本制度で働く人がオフィスにいた時間と、オフィス以外の場所で働いた合計時間のこと。
社内の休憩時間や組合活動などの時間も含まれ得るため、実働時間より長くなる可能性がある
アジアンタム法律事務所 弁護士高橋辰三
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