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2023

曲がり角の「カーボンニュートラル」

 皆さんも「カーボンニュートラル」という言葉を聞いたことがあると思います。日本では2020年10月、当時の菅義偉首相が「2050年カーボンニュートラルを目指す」と宣言し、それ以降、多く使われるようになりました。
 カーボンニュートラルは、日本語では「炭素中立」と訳します。気候変動を最低限に抑えるため、国家や企業、自治体などがカーボン(二酸化炭素)の排出を減らす動きと連動しています。その中に、「カーボンクレジット」の存在があります。クレジットとは、二酸化炭素を吸収する植林事業や二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギー事業など、カーボン低減に資する取組みを「価値化」して売買するものです。自社のカーボンを低減するとともに、前述のクレジットを購入し、オフセット(相殺)して、「炭素中立」であるとみなす考え方です。
 ただし、2022年に国連のグテーレス事務総長が「安易なカーボンクレジットの使用は認めない」方針を打ち出したことで、安易なカーボンニュートラルに対する風当たりが強くなってきました。
 カーボンニュートラルと似た概念に、「ネットゼロ」があります。こちらはかなり厳格な定義があります。海外でも日本でも、今後はネットゼロが主流になっていきそうです。

『オルタナ』編集長森 摂

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