- 日替わりコラム
Wed
11/29
2023
創造的思考やプロセスにおいて、逆を考えることが有用なことは広く知られていますが、これを「ヤヌス※ 的思考」といいます。ヤヌスとは、互いに正反対の方向を向いているふたつの顔を持ったローマの神であり、このことからヤヌス的思考とは、正反対の、あるいは矛盾するアイデアや概念などを、同時に想像する思考法のことをいいます。
中世キリスト教の世界では、プトレマイオスが唱えた「地球は不動で宇宙の中心にあり、太陽その他の天体が地球の周りを回っている」という天動説が真理とされました。これに対しコペルニクスは、逆に「地球やその他の惑星が太陽の周りを公転する」という地動説を唱えました。また、アインシュタインは動いている物体と静止している物体を同時に想像することから一般相対性理論のヒントを見出したといわれています。まさに動と静、真逆の視点を持つヤヌス的思考の結果といえます。
よく観察してみれば、私たちの周りには、物事を逆転して考え出されたものが多くあります。「電車」と「懸垂式モノレール」、「ケーブルカー」と「ロープウェイ」ではレールの位置が上下逆です。また、「雨どい」では雨は筒の中を通りますが、「レインチェーン」は外側を伝わります。
ヤヌス的思考は、画期的なアイデアを生み出すための有用なヒントなのです。
※ ヤヌス(Janus)は、ローマ神話の出入り口と扉の守護神。前と後ろに反対向きのふたつの顔を持つ双面神。
ローマ暦の1月は1年の入り口にあたることから彼の名にちなんでヤヌアリウスJanuāriusとよばれ、Januaryの語源といわれる
商品開発アドバイザーH・B 山越
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