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Wed

12/6

2023

誌上でめぐる世界の恐竜化石(15)アメリカ・モンタナ州

 国立科学博物館の角竜化石が新種であることがわかり、8月にフルカトケラトプス・エルキダンスと名づけられました。フルカトは「フォークのような」、ケラトは「角をもつ」、オプスは「顔」という意味です。頭を上から見たとき、二又のフォークのように2本の角が前方に真っすぐ伸びているのが特徴です。9月まで開催されていた「恐竜博2023」で展示していたので、ご覧になった読者もいるかもしれません。
 頭部から尾の中ほどまでの骨化石が発見されていて、吻部(ふんぶ)から尾の先端までが約3.5mです。骨の断面には木の年輪のような縞模様が2本あることから、3歳未満の若い恐竜だと考えられています。若いので、まだ骨と骨のつながりが弱く、多くの骨がばらばらになって発見されました。後頭部のフリルとよばれる骨の縁はギザギザな形をしていますが、この化石ではギザギザの部分がばらばらだったため、ギザギザとフリルのつながり部分の形まで見ることができました。そんなところから、学名の下の名前(種小名)エルキダンスには、これまで見過ごされてきたような骨にも「光をあてる」という意味が含まれています。今から約7600万年前の白亜紀後期、現在のアメリカ・モンタナ州に、鎧竜のズール、肉食恐竜のゴルゴサウルスなどと一緒に生息していた恐竜です。

独立行政法人 国立科学博物館 副館長・研究調整役真鍋真

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